2023年7月、厚生労働省の「モデル就業規則」が改正され、公表されています。
改正された箇所は「退職金」に関する条文(第54条)で、退職金支給の要件として記載されていた「勤続年数」が削除されました。
これは、「経済財政運営と改革の基本方針 2023(いわゆる骨太の方針)」において、「成長分野への労働移動の円滑化」に向けた取組として「自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行う」とされたことを受けての改正と思われます。随分と早い対応でした。
厚生労働省の「モデル就業規則」は、「副業・兼業」が追加された時もそうでしたが、企業の社内制度の内容に大きな影響を与えます。しかし、退職金制度は、財務面への影響が大きいほか、長く働いてもらいたいという会社の思いや、人材の採用・定着という目的を基盤として設計されているものです。退職金のみならず社内制度の見直しに当たっては、「モデル就業規則」の内容にとらわれることなく、制度の目的や意図をしっかり吟味した上で、対応を考えていく必要があります。
◇ 厚生労働省 モデル就業規則(令和5年7月)