新型コロナウイルス感染症の影響による需要の減少等により、従業員を一時的に休業等させた場合に、休業手当・賃金などの一部を助成する「雇用調整助成金」については、これまで順次要件が緩和されてきましたが、先週、更に大幅に要件が緩和されました。2020年4月22日に「雇用調整助成金支給要領」「緊急雇用安定助成金支給要領」が、4月24日に「雇用調整助成金FAQ」が更新されています。どこが変わったのかの解説がないため、大変分かりにくいのですが、以下のような変更が行われています。
・雇用保険適用事業所設置後1年未満の事業主について、これまでは昨年12月の生産指標(売上高等)がないと助成対象になりませんでしたが、今回の要件緩和により、「初回の休業等計画届を提出する月の前月と、初回の休業等計画届を提出する月の前々月から直近1年間であって適切と認められる1か月分の生産指標で比較」できることになりました。ただし、比較に用いる月に雇用保険適用事業所となっており、その期間を通じて雇用保険被保険者である従業員がいることが必要です。これにより、今年に入ってから設立した会社についても助成対象となる可能性が出てきました。
・通常、労働保険料の未納や労働関係法令違反がある場合は不支給要件に該当し、助成金を受給できませんが、今般の「緊急対応期間の特例」においては、労働保険料の未納や労働関係法令違反の不支給要件に該当していても特例的に助成対象となることが明確に示されました。Q&Aには「ただし、一定の条件がありますので、まずは、管轄の労働局に御相談くださ い」とありますが、依然として電話がつながらない状況が続いておりますので、具体的な条件を確認できるまでにはしばらく時間がかかりそうです。
今回の雇用調整助成金の活用にあたり、
・従業員に労働条件通知書を作成・交付していない
・労災保険や雇用保険の加入義務があるにもかかわらず加入していない
といった基本的な労務管理ができていない事業主の方がお困りになっているケースがたくさんあるようです。従業員の安心のため、また、いつ起きるか分からないリスクへの備えとして、改めて日々の労務管理の大切さをご理解いただき、今後に活かしていただきたいと思っています。
◇ 厚生労働省ウェブサイト「雇用調整助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html