昨日(2019年8月8日)、厚生労働省から「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会報告書」が公表されました。
本報告書では、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する今後の方向性について、考えられる選択肢が例示されています。
他の事業主を含め、複数の事業場の労働時間を通算・管理することについては、企業にとって実施することが非常に困難であり、結果として、違法状態が放置され労働基準法に対する信頼性が損なわれかねないこと等を踏まえ、以下の方向性が示されています。
【上限規制について】
① 労働者の自己申告を前提に、通算して管理することが容易となる方法を設けること。(例:日々ではなく、月単位などの長い期間で、副業・兼業の上限時間を設定し、各事業主の下での労働時間をあらかじめ設定した時間内で収めること)
② 事業主ごとに上限規制を適用するとともに、適切な健康確保措置を講ずることとすること。
【割増賃金について】
① 労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること。(例:使用者の予見可能性のある他の事業主の下での週や月単位などの所定労働時間のみ通算して割増賃金の支払いを義務付けること)
② 各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること。
この報告書を踏まえ、今後、副業・兼業の場合の実効性のある労働時間管理の在り方について、労働政策審議会で引き続き議論が行われることとなっています。
◇ 2019年8月8日 厚生労働省「『副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会』の報告書を公表します」