65歳以降あと30年生きるとして単純計算で約2,000万円が不足するとした、金融審議会のワーキング・グループ報告書についての報道が相次いでいます。選挙を前にして、金融担当大臣が報告書を受け取らないというおかしな事態になっていますね。
報告書を読んでみると、不足額1,300万円~2,000万円という金額は、あくまで平均の不足額から導きだしたものであり、実際の不足額は各人の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なることが明記されていますし、男性の4人に1人が90歳、女性の4人に1人が95歳まで生きる時代において、資産寿命を延ばすことの必要性を訴えた報告書の内容は極めて常識的なものです。高齢化、ライフスタイルの多様化を踏まえた金融機関サービスのあり方についても丁寧な提言がなされています。2,000万円という数字だけに着目して報告書自体が批判されていることについては違和感を覚えます。
私たち日本人は、このような長寿社会に生きていることを真摯に受け止め、できるだけ健康に自分自身が望む生き方をしていくためにどうすればいいのか、若い頃から、家計・お金のこと、社会保障のこと、働くことについて自分事として考えることが大切であると常々思っています。一人ひとりがきちんとライフ・プランニングできる社会になっていくために、私自身、できるところから取り組んでいきたいと思います。
◇ 2019年6月3日 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について