今、ピーター・M・センゲ氏の「学習する組織」(枝廣淳子・小田理一郎・中小路佳代子訳)を読んでいます。ある一つの問題のみに着目し、解決しようとすると、システム全体がうまく改善せず悪化する。何か問題が生じたとき、私たちはその原因を追究するように訓練されているが、それでは責任者探しに終始してしまい、システム全体を改善することにつながらない。組織で生じているさまざまな問題に対処するために、この視点をもつことは大変重要であると思います。
そんなくだりを読んでいた折、十年ほど前に読んだ高木善之さん(NPO法人ネットワーク『地球村』代表)の「ありがとう」という小冊子に載っていたエピソードを突然思い出しました。それはこんな話です。
お母さんが掃除をしているときに、お兄ちゃんの机の上に置いてあった金魚鉢を落として割ってしまいました。お母さんは、自分が気をつけなかったので悪かったと言います。
すると、お兄ちゃんは、机の端っこに置いておいた自分が悪かったと言います。
すると、妹は、お兄ちゃんが端っこに置いたとき危ないなと思ったのにそれを言わなかったから悪かったと言います。
すると、お父さんは、金魚鉢を買うときに四角い金魚鉢にしないで丸い金魚鉢を買ったから悪かった、と言います。
「うちの家はいつもみんなが悪いのです」と結ばれています。
一人ひとり役割は違えど、メンバーが責任を共有し、システム全体として課題を解決し、持続的に創造力を発揮できる組織にするにはどうしたらいいかを考えることが、今の時代に強く求められていると感じています。